チューブレス&28Cタイヤの魅力とは?
Bontrager R3 Hard-Case Lite TLR 700x28Cインプレッション!
ここ数年でロードバイクのディスクブレーキ化が急速に進んできましたが、同じくらいの勢いで普及が進んでいるのが「太めのチューブレスタイヤ」です。
10年ほど前までロードバイクといえば23C(23mm幅)のタイヤが一般的で、そこから25Cが徐々に勢力を伸ばしてきていました。
それが、ここ最近では28Cや32Cといったクロスバイク並みの太さを持つタイヤのラインナップが各社とも増えてきているのです。
また、ロードバイク用のチューブレスタイヤも2008年ごろから存在はしていましたが一般的とは言い難く、ユーザーが大幅に増えてきた実感があるのはここ数年のことです。
これまではクリンチャーやチューブラーのみをラインナップしてきたタイヤメーカーも、こぞってチューブレス系のタイヤをリリースしています。
トレックのパーツブランドであるBontrager(ボントレガー)では、2013年モデルからロードバイク用ホイールのチューブレスレディー(TLR)対応を進めており、スタッフ田中がロードバイクで使用している2017年モデルのParadigm Elite(パラダイムエリート)ホイールももちろんTLR仕様です。
今回は、スタッフ田中が、Bontragerが新たにラインナップしたR3 Hard-Case Lite TLRタイヤの700x28C仕様を実際に使用しインプレッションをお伝えします!
【取り付け】
私が使用するホイール、Paradigm Elite TLR(リムブレーキ仕様)はリムの内幅が19.5mmとかなり幅広。専用のリムストリップとバルブを装着することでチューブレスタイヤを使用することができます。


タイヤ取り付け面にゴミや汚れが付いているとエア漏れの原因になるので、ウエスを使って綺麗に拭いておきましょう。
余談ですが、この白いリムストリップは以前の黒いものよりも空気圧に負けてへこみにくく耐久性が高くなっているように感じます。
いよいよタイヤを取り付け…の前に重量計測です。


295gと303g、公称300gなのでほぼぴったりと言っていいと思います。気休めかもしれませんが重い方を負荷の高い後輪に使うことにします。
新型R3タイヤをご自分で取り付ける場合は回転方向にご注意ください!

ちょっと分かりにくいですが、回転方向の指定が刻印されています。
トレッドパターンは前後対称に近いですが、内部のケーシングの織り目の影響で取り付け方向により転がり抵抗に差が出るそうです。
取り付けの難易度は・・・チューブレスタイヤとしては簡単でした。
ちょっと固いクリンチャータイヤ程度なので、コツを知っている方なら無理なく手だけで入ります。
ちなみに、ボントレガー製などの角が丸いプラスチック製のタイヤレバーなら使用しても問題ありません。
外す方はタイヤレバーがあった方がよさそうです。私は念のため1セット持ち歩いています。
チューブレスの鬼門とも言えるビード上げはフロアポンプで問題なくできました。
タイヤとリムの組み合わせによってはコンプレッサーで一気にエアを送らないとビードが上がってくれないこともあるのですが、さすが純正の組み合わせだと思います。
さて、シーラントを入れて100psiまで加圧してみました。

タイヤ幅は実測27.7mmですが、一晩置いてから計測し直したところ28mmちょうどになっていました(追記:1ヶ月ほど使用すると28.5mmまで膨らみました)。
ワイドリム前提の設計になっているようなので、リム幅の狭いホイールに取り付ける場合は表記よりも若干細くなると思われます。
また、Aeolus Pro 3VやParadigm Comp 25 (リム内幅25mm)ホイールのような超ワイドリムの場合は逆に表記サイズよりも膨らむので、フレームによってはクリアランスに注意が必要です。
【インプレッションの前提】
こういったインプレッションは乗る人の体格などによって大きく左右されると思いますので、参考までにライダーである私の情報を書いておきます。(いずれも2020年12月の執筆時点)
身長 172cm
体重 57kg
年齢 30歳
いわゆるクライマー体系で、Mt.富士ヒルクライムではシルバーとゴールドの間を行ったり来たりしています。半分程度は通勤ですがロングライドも好きで年間12000㎞ぐらい乗ります。
パワーメーターをお持ちの方向けに書いておくと、FTPは260W(4.56W/kg)前後。
使用バイクはEmonda SLR 2018年モデル(リムブレーキ)、ホイールは先にも書いたようにBontrager Paradigm Elite TLRです。
最近使用していたタイヤは、
・Bontrager R4 320(クリンチャー) 700x25C
・Bontrager R3 Hard-Case Lite TLR(旧世代)700x26C
・Bontrager R3 Hard-Case Lite(クリンチャー)700x25C、28C
・Bontrager AW3 Hard-Case Lite(クリンチャー) 700x25C
・IRC Formula PRO S-LIGHT TLR 700x25C
あたりです。
【ファーストインプレッション】
まずは空気圧をクリンチャーで28Cを使う時と同じ90psiにセットし軽く乗ってみました。
重量がそこまで軽くないこともあって、漕ぎ出しに関してはこれと言って特徴は感じませんでした。
重量を28C同士で比較すると、
・R3タイヤ(クリンチャー)225g + チューブ130g + リムテープ20g = 375g
・R3 TLRタイヤ300g + シーラント60ml(≒60g) + リムテープ55g + バルブ8g = 423g
となります。チューブレスの方が50gほど重いのですが、平坦の発進加速や軽い上りでは気になるほどではありません。
直前まで履いていたIRC Formula PRO S-LIGHT TLRの25Cは225gと圧倒的に軽量だったので、それと比べればひと漕ぎ目の軽快さは多少落ちます。とはいえ、得意分野の全く違うタイヤなのでそこで比較するのはあまりフェアではないでしょう。
ある程度速度に乗った後の巡航はとても快適です。転がり抵抗の少なさは、さすがチューブレスといったところ。ポタリングペースでも飛ばしてみても、一定ペースを保つことに関しては非常に楽です。
荒れた路面や段差を乗り越える時の衝撃の角が丸くなる感じで、乗り心地もとても良く感じました。ケーシングもトレッド面のラバーもあまり柔らかい感じはしないので、単純にワイドリムと幅広タイヤ、そしてチューブレスによる空気容量の大きさのおかげでしょう。
以前使っていたR4 320(クリンチャー)は全体にソフトで吸い付くような乗り心地でしたが、それとは対照的です。
トレッドのグリップ感はクリンチャーのR3タイヤと同等です。R3タイヤは新しい世代になってグリップ感がとても良くなりました。滑りにくいだけでなく、滑り出しギリギリの感覚も掴みやすく、旧世代よりもコーナーでの倒し込みに安心感があるので舗装の荒れた下りなどでもあまり神経を使わず走り続けられます。
また、トレッドが比較的頑丈にできているようで、砂利の散らばった林道を走行した後でもタイヤ表面に目立ったキズはありませんでした。内部に入れたシーラントのおかげで、仮に穴が開いてもある程度は勝手に修復してくれるので、パンクのリスクは非常に小さいタイヤです。
総じて身体的にも精神的にも負担が少なく、ロングライドが楽になるタイヤだと感じました。
ひとまず前編はここまで。
後編では、空気圧の変化による走りへの影響と、さらに長い距離・さまざまな状況を走り込んでみてのセカンドインプレッションをお伝えします!
BEX ISOYA 成城 スタッフ(テックマネージャー)
田中

<関連リンク>
スタッフ田中による過去インプレッション
「TREK 2021年モデル 新型 EMONDA SLR、EMONDA SLインプレ動画」

「BONTRAGER(ボントレガー)サイクルウェア インプレッション」
